その一 謎の少女
チャイナ服の少女との出会い----
銀時「しまったァ、今日ジャンプの発売日じゃねーか。今週は土曜日に発売なの忘れてた、引き返すか」
新八「もういいでしょ、さんに頼まれたスキヤキの材料は買ったんだから」
珍しく万事屋に依頼があり、久しぶりに豪勢な夕飯にしようと言う事では2人に何が食べたいですか?と尋ねれば満場一致でスキヤキになった。今の時代でこそスキヤキ=豪華なんてイメージは薄れてきているが、この時代にとってまだスキヤキは豪華料理上位に入る。男2人に買い物を頼んではスキヤキに使う鍋を買いに行っている。なのでスクーターで買い物を終えた2人の会話である。
銀時「まァ、これもジャンプ卒業する良い機会かもしれねェ。いい歳こいて少年ジャンプってお前・・・。にあきられるかもしれねェ・・・。いや、でも男は死ぬまで少年だしな・・・。も年寄りより少年の心を持った男の方が・・・」
新八「アンタ、結局はソコですか・・・。スンマセン恥ずかしい葛藤は心の中でして下さい」
銀時にとっては恥ずかしい所か大きな問題なのである。ましてや最近気になりだしたに関わる事なら尚更である。考え事をしながら新八とスクーターを2人乗りをしていたのが悪かったのかもしれない、曲がり角から突然飛び出してきた少女に気づけなかった。
銀時「あぶね!!」
少女「!」
慌てて踏んだブレーキは間に合わず大きな音が辺りに木霊する。倒れる少女に顔が真っ青になる2人。
新八「あ”あ”あ”あ”あ”あ”!!ひいちゃったよ、ちょっとォォォ!!どーするんスか、コレ!!アンタ、よそ見してるから・・・」
銀時「騒ぐんじゃねーよ、取り合えず落ち着いてタイムマシンを探せ」
新八「アンタが落ち着けェェェ!!」
銀時「だ・・・大丈夫だよ。オメーよぉ、お目覚めテレビの星座占いじゃ週末俺の運勢は最高だった。きっと奇跡的に無傷にちがいねェ。なァ、オイ」
そう言って倒れている少女の肩に手を触れ、うつ伏せ気味の体を起こす銀時。
銀時「お嬢・・・!!」
起こした途端、赤い鮮血が地面に流れているのが目に入る----
銀時「お目覚めテレビぃぃぃぃ!!てめっ、もう二度と見ねーからなチクショー!!いや、でもお天気お姉さん可愛いんだよな。程じゃねーけど・・・。オイ、どーだよ様子は」
新八「ピクリともしないよ、早く医者に連れて行かなきゃ----?」
2人乗りのスクーターに少女を縛りつけ、医者に見せようと走っていたその時、スクーターの脇を黒塗りのベンツが横付けしてきた。不思議に思って見ていると、突然車の窓が開き中からいかにも全うな仕事をしてなさそうな男が顔を見せる。その時信じられない事が起きた。突然その男は拳銃を銀時達に向け始めたのだ。
銀時「!!」
新八「ちょっ・・・何ィィィ!?」
パンパンっと乾いた銃声の音が響いた。自分達に当るだろうその弾を目を瞑って耐えるが、何時まで経っても痛みは無い。新八が目を開けると、自分の背に縛り付けられている少女が傘を広げどうやら弾を防いでくれた様だ。銃弾を防ぐ傘等あるのかと驚いていると、広げられていた傘を畳み、黒塗りのベンツに向ける少女。閉じる際、傘から聞えるはずの無い「ガシャコン」と機械音が響いた。何と、向けられた傘の先からマシンガンの如く弾が発射され、黒いベンツのフロンとガラスに命中する。車は操縦を誤り近くの樹に衝突し、動きを止める。
少女「フッ」
傘の先からでた煙をガンマンの如く吹き消す少女。新八はこの時、嫌な予感がしたのは言うまでも無い----
場所は変わり、鍋を捜し求め買い物をしていた。
「漸く良いお鍋が手に入りました。少し遠出になっちゃいましたが・・・」
銀時と新八の喜ぶ顔が頭に浮かぶと、わざわざ遠出しても良いかなっと思う。万事屋に向かって歩いてる途中、裏路地に見慣れた銀髪がふと目に入る。
「あれ・・・?銀さん?新八君?」
少女「お前等馬鹿デスか?私、スクーターに跳ねられた位じゃ死なないヨ」
買い物を終えて帰っている筈の銀時と新八。しかし思わぬ所で出会い、事情を簡単に新八に聞いてみると少女をスクーターで跳ねたと言うのだ。新八は【謎の襲撃者】についてもに話す。
少女「コレ、奴らに撃たれた傷アル」
「っ!?怪我大丈夫なんですか?」
少女「もう塞がったネ」
怪我の心配をするに肩の傷を見せる少女。少女の言う通り怪我は本当に塞がっていた。そんな少女にホッとする。
銀時「お前、ご飯にボンドでもかけて食べてんの?まァ、良いや。大丈夫そうだから俺ら行くわ。お大事に〜、お前もいくぞー」
「で、でも銀さん・・・」
こんな小さい少女を放っておいて良い訳が無い。ましてや彼女は「奴らに撃たれた」と言っていた。謎の襲撃者は間違い無くこの少女を狙っている・・・。さっさとスクーターに乗り込み発進しようとしていた銀時は、何時まで経っても進まないスクーターに疑問を持つ。
銀時「アレ?新八、お前急に重くなっ!?」
スクーターのエンジン音が木霊する中、後ろを振り向くとなんと少女が後ろの座席を掴んでスクーターの発進を阻止していた。何と言う怪力だろう・・・。
少女「ヤクザに追われる少女、見捨てる大人見た事ないネ。このお姉さんは別みたいだけど・・・」
銀時「ああ、俺心は少年だからさァ。、お前ェは優し過ぎんだよ。それにこの国では原チャリ片手で止める奴を少女とは呼ばん。マウンテンゴリラと呼ぶ」
「例え力が強かろうが、この子は小さな女の子です!放ってなんか私には出来ません・・・」
少女「お姉さん・・・」
その時、路地の曲がり角からヤクザ風の男達と目が合う一同。
ヤクザ「おっ、居たぞォォこっちだァァ!!」
慌てて跨っていたスクーターを放り捨てて、男達とは逆の方向に逃げる銀時達。
新八「ちょっ、なんなのアイツら。ロリコンヤクザ?」
少女「何?ポリゴン?」
「違いますよ、【ロリコン】です」
見当違いな新八に対しての少女の言葉に、は冷静に間違いを少女に諭す。ココで付け足そう、今はヤクザから逃げている途中だ。あくまでもこんなにのんびりと、会話を楽しんでる場合では無いのだ。
少女「私、江戸(ココ)に来たらマネー掴める聞いて遠い星からはるばる出稼ぎ来たヨ。私のウチめっさビンボー、三食ふりかけご飯。せめて三食卵かけご飯食べたいアル」
は少女の辛い?生い立ちを聞いて僅かばかり涙ぐんでいる。こんな小さい少女が、家族の為に出稼ぎに来ているのだ。何て健気だろうと思う。しかし、そんな時でも新八の鋭い突っ込み。
新八「いや、あんま変わんないんじゃ」
そんな新八の言葉を無視するかの様にさらに話す少女。
少女「そんな時奴らに誘われた----」
ヤクザから逃げていた4人は、路地裏のゴミ置き場に身を隠す。
親分「ウチで働いてくれたら、三食鮭茶漬け食べれるよ」
少女「私、それ聞いて飛びついたネ」
新八「なんでだよ、せめて三食別の物食べようよ」
少女「私、地球人に比べてちょっぴり頑丈。奴らの喧嘩引き受けた。鮭茶漬け毎日サラサラ幸せだたヨ。でも最近、仕事内容エスカレーター」
新八「いや、エスカレートね」
少女「人のキンタマとってこい言われる様になったアル」
「キン・・・?」
銀時「は分かんなくて良いから!!あっ、でもどうしても知りたいってんなら銀さんが手取り足取り----」
新八「アンタ、さんに馬鹿な事言ってんじゃないですよ!!それに、キンタマじゃなくて命(タマ)ね命(タマ)」
少女「私もう嫌だヨ、江戸とても怖い所。故郷(くに)帰りたい」
「・・・」
貧しい家族の為に、この少女は遠い江戸まで来て怖い思いを沢山したのだろう・・・。自分も小さい頃から一人で旅をしてきたせいで、一人ぼっちの怖さや不安は痛い程分かってしまう・・・。
銀時「バカだなオメー、この国じゃよォ、パンチパーマの奴と赤い服来た女の言う事は信じちゃダメよ」
「銀さん・・・!でもっ・・・!」
銀時「が言いたい事は分からんでもねェけどな、まァてめーで入り込んだ世界だ。てめーで落とし前つけるこったな」
新八「オイ、ちょっと」
そう言って隠れていたゴミ箱から出て、歩いて行ってしまう銀時。
「新八君、大丈夫です。銀さん、あぁは言ってるけどきっと力になってくれるはずです。こんなに可愛い女の子放って置くような人じゃないですよ」
新八・神楽「(お姉)さん・・・」
それはが半月一緒に万事屋の従業員として、銀時を見て来た上での確信だった。初めて出逢った時も、お妙と共にが天人に連れて行かれた時、銀時は来てくれたから。普段は面倒だなんやと言っているけれど、やる時はやってくれる人だと思えるから----
小さな少女との出会い。自分と境遇が似ている彼女を放って置けない。果たして彼女と新八はヤクザ達から少女を護る事は出来るのだろうか・・・?そっけなく行ってしまった銀時は・・・?
貴方は来てくれる、なぜかそんな確信が私にはあるんです