どうしようもなく、貴方に惹かれてしまう----
この世界に来て、4ヶ月が経とうとしていた。12月頃だった季節も今では暖かい風が吹き始め、万事屋の窓から見える景色から見事な桜がチラホラ見えている。相変わらず依頼の無い万事屋では、銀時はジャンプを。神楽は新聞を。新八とは天気が良いからと布団を干していた。今日は1日晴れると天気予報では言っていた。今日、眠る時の布団はお日様の匂いがしてきっと気持ちの良い事だろう。そう考えふふふっとが一人微笑んでいると----
神楽「銀ちゃん!近くの公園で桜が今見頃だって書いてあるヨ」
と新聞を読んでいた神楽が突然言い出した。
銀時「んあ?そういやぁ、結野アナが今日は天気も良いしお花見でも如何ですか?とか言ってたっけなァ〜」
神楽「お花見!?銀ちゃん私お花見行きたいアル!!!」
銀時「あぁ?お前アレだよ、銀さんは今ジャンプと言う名の青春を謳歌してだな・・・」
新八「お花見ですか・・・。そういえば姉上は今日仕事先の人達とお花見行くって言ってたな・・・」
銀時「ちょっ!!!新八君、何気に銀さんの台詞遮らないでェェェェェェ!!!」
「お花見ですか・・・。きっと桜、綺麗なんでしょうね・・・」
とが言う。そこで3人は考えた。は小さい頃から体が弱いと言っていた。もしかしたらお花見なんてした事が無いのかもしれない・・・っと。日頃、家事を任せきりの彼女に自分達は少しでも喜んで欲しいと思う。
神楽「〜!一緒にお花見行こうヨ!」
新八「そうですね!さん行きましょう!江戸の桜は格別なんですよ!」
銀時「あぁ〜・・・、うん。銀さんちゃんの作ってくれたおいし〜ご飯外で食べてェな〜」
と3人が言う。そんな3人の行き成りの言葉にビックリするだが、もしかしたら自分の為に言ってくれているのでは無いかと思え満面の笑顔で言う。
「はいっ!美味しいお弁当作りますね!」
が笑ってくれるならたまには面倒な事も良いかと思う銀時と2人でした。
大量に作られたお弁当箱と、ビニールシートにもちろんお酒も。銀時に神楽、新八に定春まで連れて万事屋メンバーは近くの公園に赴いた。やはりと言うか何と言うか。桜が見頃と言う事と、この天気の良さ。考える事は皆同じな様で・・・、所狭しと人で埋められていた。これは場所取りは絶望的だっとメンバー全員が思った時----
お妙「あら?新ちゃんじゃない!さんまで!あなた達もお花見に来たの?」
新八「姉上!ここでやってたんですか?天気も良いし、僕達もお花見に来たんですが・・・、どうやら場所が無さそうで・・・」
お妙「あら〜新ちゃん水臭いわね!私たちと一緒にお花見すれば良いじゃない!」
とお妙が言ってくれた。お邪魔にならないかとが聞けば私が口利きするから大丈夫よとお妙。一瞬黒い微笑が見えたのは気のせいだろうか・・・。無事?お花見をする場所を見つけ、さっそく各々お花見の準備をする。
お妙がに仕事先【スマイル】のメンバーを紹介し、は1人1人に挨拶していった。どうやら、お妙の【卵焼き?】は持って来ていない様で安心する以外のメンバーであった。
神楽「やっぱりの作る料理は最高ヨ!」
新八「そうですね〜、最初は目玉焼きもろくに作れなかったなんて信じられません」
銀時「え?新八君、それどうゆう意味?」
新八「あ、銀さん知らなかったでしたっけ?さんは・・・」
「し、新八君!その話は良いから!!ほ、ほら!銀さんこの卵焼き結構自信有るんですよ〜!」
と新八の言葉を遮る。銀時の気を逸らそうと慌てて卵焼きを薦める。言える筈が無い。銀時に少しでも喜んで欲しくて料理や家事を習ったなどと。この卵焼きだって銀時の好みになるようにと少し甘めに作ったなどとはもっと言えない。
何処か不満に思いながらも、の薦めてくれた卵焼きを食べる銀時。それは銀時好みの甘い卵焼きでとても美味かった。
次々と弁当の中身が減る中、急に周りの人間がざわざわ騒ぎ始めた。一体何が・・・?と思って回りを見回す。後ろから聞きなれない声が聞こえた----
???「おぃ、万事屋〜こんな所で呑気に花見たァ、随分楽しそうじゃねぇか」
銀時「あれェ〜?大串君じゃねぇの。相変わらず真選組の奴らは暇そうだな〜。この税金ドロボーが!」
???「てめェ・・・、何度言えや分かるんだ!?大串じゃネェェェェ!土方ダァァァァァ!」
???「もう大串でいいじゃねェですかィ」
土方「よし、総悟そこになおりやがれェェェ!俺が叩っ斬てやらァ!」
と3人のやり取りを唖然として見ていただったが、余りにも自分の想像通りのやり取りをした為可笑しくて笑ってしまった。
総悟「おや、旦那。見ねェ顔がいやすねェ」
土方の言う事など何のその。そう言うとに近づく総悟 。いきなりの下あごを掴んで上に向かせえた。
総悟「へェ〜、遠くから見ても別嬪だと思いやしたが近くから見ると益々別嬪だァ」
行き成りの総悟 の行動に顔を赤くして黙り込む。最近、ようやく銀時とまともに話せるようになったばかりなのに男性がこんな近くで自分の顔を見ているなんて、とても耐えられそうにない。そう思い慌てて顔を背けようとすれば----
銀時「はいは〜い。総一郎君、うちの大事な従業員からかうんじゃねェよ。この子初心なんだから」
そう言うと自分の胸にを抱き込む銀時。そんな銀時の行動に驚くだが状況は先程より悪いのだ。只でさえ男性に免疫が無く、ましてや自分が想いを寄せる相手に自分は今抱きしめられている・・・。赤くしていた顔が更に赤くなる。慌てて銀時に話しかける。
「ぎ、銀さん!わ、私もう大丈夫ですからっ!お願いします!離して下さい〜!」
そう願い出れば、渋々腕を開放してくれた。未だに鳴り止まない胸の鼓動を押さえ必死に深呼吸を繰り返す。
総悟「旦那、総一郎じゃなくて総悟でさァ。へ〜、さんて言うんですかィ。俺は【沖田 総悟】って言いやす」
土方「そういやァ見ない顔だな。俺は真選組の【土方 十四郎】だ」
「あ、申し遅れました。万事屋で働いている です」
未だに赤い顔をしながらペコリと頭を下げる。
総悟「旦那のコレですかィ?」
と総悟が厭らしく小指を立てる。銀時が言葉を発するより早くその意味に気づいてしまったはまた更に顔を赤くして否定する。そんなに強く否定しなくても・・・、と銀時が口を尖らせるがにはそんな事は聞こえていない。
そんな2人のやり取りをニヤニヤしながら見比べる総悟。
銀時「所で、税金ドロボーの暇人やろう共はココに何の用なんだよ!」
土方「今日は花見客が多いって聞いてな。面倒だが見回りだ」
そう言うとタバコを取り出し、慣れた手つきで火をつける土方。
「あ、あの・・・。もしお時間あるなら少し休んでいかれませんか?あまりお持て成しは出来ませんが・・・」
漸く、落ち着いた。そんな言葉に驚きの顔を見せる土方と総悟。その横で銀時が反対だとギャアギャア騒いでる。
総悟「せっかくのさんからのお誘いでさァ。お邪魔しやす」
土方「そうだな、丁度喉が渇いてたんだ。世話になる」
そう言うと2人とも席に着いてしまった。なぜかを真ん中にして座る2人。
神楽「どうしてココにサドとマヨラーが居るアル!?お前の席何て何処にもないアル!!」
総悟「残念だったなァチャイナ〜。俺達はさんに誘って頂いたんでィ」
相変わらず顔を合わせれば喧嘩をはじめる2人。慌てて止めようとが立ち上がりそうになるが、銀時が何時の間にの隣に座ってきていつもの事だから放っておけと言われる。
銀時「大串くぅ〜ん、喉乾いてるんだったよなぁ?丁度良い、こいつで決着つけようぜ」
と銀時が差し出したのは銀時が持ってきていた【鬼嫁(お酒)】である。上等だと言いながら勝負を受ける土方にオロオロするだったが、それを見かねた新八がいつもの事だからと肩に手を置いた。
思わぬ真選組の2人の登場に、お花見は大乱闘?もとい大宴会になってしまったのは言うまでも無い。
初めて体験した【お花見】。とって掛け買いの無い大事な想い出になった。来年はもう一緒に見る事は出来ないけれど・・・。
楽しい時間はあっという間に過ぎる。気づけば外は大分日も傾いてきていた。そろそろ私達は帰るわっとお妙達。万事屋のメンバーもそろそろ帰ろうかっと言う時----
「銀さん、そろそろ私達も帰りますよ」
そう言って銀時の肩を揺する。と言うのも、飲み比べを始めてしまった銀時と土方だったが結局勝負はつかず2人とも酔ってシートの上に寝転んでしまっている。土方の方は、近藤さんが心配するからと総悟が肩を貸して連れて帰ってくれた。問題は銀時だ。肩を揺すっても中々起きようとはしない。そんな銀時に呆れる神楽と新八。
「新八君、神楽ちゃん。申し訳無いんだけど定春連れて先に帰っててくれますか?」
新八「さんはどうするんですか?」
「私は、銀さん起きるまで傍についていますよ」
神楽「そんなマダオ置いていくアル」
新八「そうですよ!自業自得なんだから放っておきましょ」
と2人。それでもがごめんねやっぱりそうゆうわけにはと言えば、渋々了承してくれた。周りの人達もそろそろチラチラとしか居なくなってしまった。硬いシートの上では寝ずらいだろうと、は銀時の頭を自分の膝に乗せる。自分でも大胆な事をしているんではないかと思う。だけど寝ているなら・・・。と思い切ってしまった。
膝に乗る銀時の頭。癖毛が強い髪に触れて見る。それはやはり想像していた通り柔らかい。こんな柔らかい髪なのになぜ天然パーマーがかかってしまうのだろうと思う。前髪を手で梳いて銀時の横顔が見える。それは愛しい、愛しい人の横顔。
銀さん、知っていますか?貴方はモテナイ、モテナイって言うけれど・・・貴方を想っている女性は沢山居るんですよ?私が読んできた夢小説を書いている女の子達。銀魂に出てくる女性達。皆、貴方に惹かれてるんですよ?
眠る横顔を見れば、綺麗なほど整っている顔立ち。普段は【死んだ魚の眼】何て言われているけれど、そんな貴方も好きなんですよ?って言ったら貴方は笑うだろうか・・・。
いつの間にか月が照らしていた。月に照らされた銀時の銀髪は、言葉に出来ないほど綺麗で・・・。そんな綺麗な光景を今だけ独り占めさせて下さいとは祈った。

私に出来る事など小さいけれど、この安らかな貴方の寝顔を護りたいと・・・。その時私は思ったんです。
総悟がのあごを取って上に向かせている。男性に免疫が無いのは普段の生活で良く知っていた。は異常なほど銀時と距離を取るのだ。最初は嫌われているのか?と思ったがそうではないらしい。は時々銀時にだけですよ?っと手作りの甘味を作ってくれる。本当に嫌われているなら態々そんな事しないだろうし、その甘味達は糖尿予備軍となっている銀時にとって甘さ控えめで、尚且つ銀時を満足させる味と量だった。総悟に赤くなるが可哀相なのと、そんなに近づくなという意味を込めてを後ろから抱きしめた。
普段、男物の着物を着ているせいか余り分からなかったがやはり女性なのだろう。銀時が少し力を入れるだけで折れてしまいそうなほど華奢だった。そして、抱きしめた時に感じる良い匂い。一緒に住んで居るのだから、同じシャンプーやリンスを使っているはずなのに、どうしてこんなに良い匂いがするのだろうか。抱き心地が良い体を抱きしめていれば、ふと離して欲しいとに頼まれる。本当を言うと離したくなんて無かったが、嫌われるわけにもいかず素直に離した。
突然、真選組の2人にが休んではどうかなどと声をかけ了承した2人がの隣に座る。総悟は神楽のおかげで居なくなったがの隣に居る土方が気に食わない。自分も隣に座り土方の気を逸らすように飲み比べを挑んだ。我ながら良い歳した大人が何をやっているんだと思う。
銀時は懐かしい夢を見ていた。小さい頃の幼馴染達と小さな自分。それを見守る大好きだった恩師。良く銀時の頭を撫でてくれた暖かい手。夢のはずなのにそれはとてもリアルに感じられて・・・。懐かしくて不意にも少し泣きそうになった。
漸く目を開けると柔らかい感触が頭を包んでいた。そっと上を見ればの笑顔。リアルに感じていたのはどうやら彼女の手だったようだ。
「あ、目がさめましたか?お水飲みますか?」
銀時「ん、お願い」
そう言って銀時の頭を慎重にどかして水を取りに行く。酒の回る頭で考えて見れば、どうやら膝枕された上に頭を撫でてもらっていたようだ。少し残念な事をしたと思ったのは内緒だ。
夜も大分更けてきた。街灯が照らす河原を2人で歩く。
「銀さん、今日は本当に有難うございました。お花見すごく、すごく楽しかったです」
銀時「礼なら神楽と新八にしてやってくれよ」
「ふふふっ。そうですね。でも銀さんも着いて来てくれたから・・・、だから銀さんにも有難うございますですよ」
そう言って銀時を見て微笑む。そんなから慌てて目を逸らし癖毛の強い頭をガシガシ掻き毟った。
と一緒に居るとなぜか自分のペースがかき回されてしまう。それは悪い意味ではなくて。女と一緒に歩くなんて、銀時にとっては正直珍しいことではない。だから今感じている緊張やの見せる笑顔に顔を赤くさせてしまう何て初めてなのだ。本当は答えなんて分かっていた。緊張するのも照れるのも、彼女の笑顔が見たいと思ったりその笑顔がどうしようもなく【愛しい】と思ってしまうのも。改めて認識してしまったへの想い。分かった所で易々口に出来るはずも無く・・・。
銀時「そういやァよ・・・。初めて万事屋で会った時の事覚えてるか?」
「初めて?あ、はい。勿論覚えてますよ。あの時急に銀さんに会っちゃってビックリしました」
銀時「そんでよ・・・。何で振り向いた時【泣いて】たんだ?」
「っ!?そ、それはあの時言ったじゃないですかっ!目にゴミが入ってしまって・・・」
銀時「はいはーい。新八の目は誤魔化せても俺の目は誤魔化せねェよ?本当の事言いなさァ〜い」
は困っていた。初めて出逢った時の事を覚えてくれている銀時がすごく、すごく嬉しかったが・・・。まさか、貴方に逢いたくて・・・、嬉しさの余り泣いてしまったんですとは言えるはずも無くて・・・。
銀時「ちゃぁ〜ん?本当の事言わないと、銀さんチューしちゃうよ?」
「っっっ!?」
「い、言います!言いますからそれ以上近づいちゃ駄目です!!!」
真っ赤な顔をしてそう言うと、人の悪い笑みを浮かべてに近づいてきた銀時を慌てて両腕で止める。
「じ、実は・・・。ずっと万事屋の皆に会いたいって思ってて・・・。それで嬉しくなって・・・」
銀時「ふぅん・・・。でもさ、新八には大分前からもう会ってたんだよなァ?あの時は銀さんしか居なかったぜ?神楽と会った時だって泣いてないよなぁ?」
「そ、それは・・・」
銀時「本当の事言わないと、銀さんチューするって言ったよなァ・・・?」
そう言うとの両腕を掴んで上にやってしまった。銀時がニヤニヤしながら顔を近づける。
「っっっ!?銀さんに・・・。銀さんに【一番】逢いたかったんですっ!!!!!!」
必死に抵抗しながらそう言えば。
銀時「素直でよろし〜」
そう言いながらおでこに感じた温かい温もり・・・。
銀時「最初、嘘言ったからペナルティーな」
そう言いながら前に歩き出してしまった。
「っっっ・・・。」
おでこに感じた温もりの正体・・・。それがキスだったなんては気づくのに数分かかってしまった。銀時が置いていくぞ〜!って声をかけてくれなければ、朝までボーっと突っ立っていたかもしれない。
どうしてこの人はこんなに不意打ちをしてくるのだろう・・・。赤い顔を更に赤くしたは頬に手を当て必死に熱を持つ顔を冷やした。嫌なわけが無いのだ。それは心の底に封じ込めていた女としての【願い】。必死に言い聞かせてきたのだ。自分は消える人間なのだからと。銀時に【恋】はしていてもそれ以上は望むなと。両思いになれたらとか抱きしめて欲しい何て思ってはいけないのだと・・・。
。今はそれで勘弁してやるけどよォ・・・。お前に対する気持ちに気づいちまった以上は、俺ァ指咥えて見守るなんて事出来ねェからよ。土方や沖田君、その他の奴に渡す気なんてねェからな。覚悟しておけよ?
気付いた気持ち。惹かれ始めてしまった君への想いはもう止められないから