傍に居られるだけで・・・   第二十六訓  想い  



私の世界は、貴方中心で回る----



暗い夜空に咲く大輪の華(花火)を銀時と共に並んで見ている自分。ふと手に触れた温もりに視線を落とせば、大きな手に包まれている自分の手。驚いて視線を隣に居る銀時に向ければ、優しい微笑を向けてくれる彼。銀時が何か言葉を紡いでいるけれど、うるさい位に鳴り出した心臓の音で私の耳には届く事は無かった。


人が涙を流す時と言うのは、哀しい時、悔しい時、嬉しい時と聞くけれど今私が流している涙はその3つとは違う様な気がした。本来なら決して叶う事の無い【銀時に逢いたい】と言う私の願い。常識から考えれば、その願いは叶う事無く私はあのまま病によってこの世を去っていた筈だったけれど突然現れた奇跡によって、あんなにも切望していた銀時に・・・新八や神楽、その周りを取り巻く優しい人達に私は出会う事が出来た。銀時達と過ごす日常は、一つ一つが私にとってはキラキラと光る小さな宝石で・・・幸せだった。愛しい人と、大好きな人達と出逢えた事。病によって決して見る事を許されなかった世界の美しさを教えてくれた事。それは泣きたくなる位幸せな日々。そう、私が今銀時を目の前に涙を流した理由はまさに其れだった。


涙を流す私を最初は戸惑って見ていた銀時だったけれど、の顔を見れば悲しくて泣いているのでは無いと分かると再び微笑む。私もそれに答えようと微笑み返えそうとした時----


目の前は突然真っ赤に染まった----


私の手を包む銀時の手の温もりが離れる。胸に真っ赤な華(血)を咲かせて倒れていく銀時----


「銀さんっ!!」


必死に倒れる銀時の手を掴もうと伸ばしたの手・・・。けれどその手は銀時の手を掴む前に私を現実に引き戻す。


「はぁっ・・・はぁっ・・・」


心臓は嫌なほどドキドキと鳴って、全身を伝う嫌な汗。あの夜以来何度も、何度も見る夢のせいで飛び起きる


あの夜、真っ赤な血で染まる銀時を最後にが連れて来られた場所は、どうやら大きな船の中だった。決して狭くない和装の部屋には申し訳程度に生活に必要な家具が置かれただけだ。連れて来られて一体どれくらい経ったのだろうか・・・。窓が無いこの部屋からは、今が一体朝なのか夜なのか分かるはずも無かった。を連れて来た当の本人はあの夜以来姿を見せない。特に何をしろと言われる訳でもなく一人っきりの部屋で考える事と言えば、あの後銀時がどうなったのかと言う事だけが頭に浮かぶ。最後に銀時を襲った銃弾は、間違い無く致命傷だった。腕や腹を襲った銃弾による失血も充分人を死に追いやる物だった。無事で居て欲しい・・・。自分のせいで銀時にあんな怪我をさせてしまったような物だ・・・。これはきっと【罰】なのだ。ただ、銀時の傍に居られるだけで良いと言い聞かせていた筈なのに幸せな日々は少しづつ私の想いを募らせていき、何時からか銀時にも好きになって欲しいと望むようになってしまった私に対しての・・・。だから傷つくなら私であってほしかったのに・・・。


???「また食ってねェのか」


「っ!?」


突然後ろから聞こえてきた声に振り向けば、いつの間にか入ってきたのか、高杉が布団から飛び起きたままの格好のを見下ろしていた。


食欲なんてわくはずが無かった。只でさえ夢のせいでろくに眠れない日々が続いているのに、未だに分からぬ銀時の安否。睡眠不足と食事をとらないせいでの身体は大分痩せた。


「どうして、私を・・・?」


高杉「くっくっく・・・、言ったはずだ。お前の力が俺は欲しい」


鬼灯との戦いで瀕死の重傷を負っていた銀時を、瞬時に治してしまった彼女の【癒しの力】。この力があれば、どんなに戦っても倒れない兵士が作れる。そうすればこの腐った世の中を壊す事だって夢ではないのだ。大切な先生を奪ったこの【世界】を----


「・・・」


高杉「それになァ、【興味】がある。あの白夜叉がご執心な女になァ・・・」


そう言うと、未だに布団に入って座ったままのに近づくと彼女の顎を自分の方へ引き寄せた高杉。


高杉「銀時には勿体無ェな・・・」


「っ・・・」


息が触れ合うくらい接近した2人の顔。抵抗しようにも、銀時と同じくらい見た目は華奢なのにやはり男性。簡単にの両手は顎を捕らえていない手で一括りに封じられてしまう。


自分で言うのもなんだが、いくら隻眼であっても俺の容姿に引かれて近づいてくる女などごまんと居た。だから女には困らなかったし、様々な美しい女達を沢山見て来た。しかし間近に見るこの女は、沢山見て来た綺麗所の女達が霞んでしまう程惹かれる自分が居た。眠りから覚めたばかりのせいで、黒く長い髪は綺麗に背中へ流れており、同じく黒い瞳は少し切れ長だが決して鋭い印象は無い。紅をさして居なくても紅い唇は、男を誘うかの様に艶めかしい。華奢な身体は日を浴びて居ないかの様に白く、薄い寝巻きの着物からも分かる程豊かに実った乳房。


「離してっ・・・離してくだ・・・さいっ・・・」


近づく男の顔と、両手と顎を掴む手から必死に逃げようと身体を捩るがびくともしない。


高杉「くっくっく・・・。生娘でもあるまいし、そう暴れんなよ。銀時には、毎晩可愛がってもらってんだろう?」


「!?」


高杉の言葉に真っ赤になるの顔。抵抗していた彼女の力が僅かに緩まる。


高杉「なんだ・・・お前生娘なのか?こりゃあ傑作だ、銀時の野郎大事な女には怖くて手ェだせねェのか」


そう言うなり笑い始める高杉。あの天人のみならず、同胞からも恐れられた白夜叉と呼ばれた鬼人が女一人を護れないばかりか、手を付けてないとは笑わずに居られない。


高杉「お前に教えてやるよ・・・」


一頻り笑った高杉がそう呟くや否や、布団に座っていたを押し倒す。突然襲った衝撃に僅かばかり息が止まる


高杉「男って言うものをなァ・・・」








注意

この先、高杉さんが酷い男になります。管理人の思い描く都合上そうせざる終えませんでした。くれぐれも高杉ファンの方々は読むのをご注意下さい。そしてファンの皆様本当にすいません・・・!






高杉が何を言っているのか分かるはずも無く、突然布団の上に押し倒される。顎は開放されたが、両手は頭の上に一括りにされ、未だに拘束されたままだ。


「な、何を・・・!?」


必死に拘束された腕を動かそうとするが、細い彼女の力では到底男の力に敵わない。不適な笑みを浮かべたままの高杉は、困惑するの表情を少し眺めると、彼女の白くシミ一つ無い首筋に唇を寄せる。


「っ・・・!?」


滑らかな首筋に顔を埋めると、最初に香ってきた彼女の香り。多くの抱いて来た女達は、当然の様に香水を付けていたが、そのどの香りとも違う。花の様な甘い香りで、でも決してしつこい甘さではなく、どこか頭の芯を痺れさせる様な・・・。


高杉「俺に抱かれたと、アイツが知ったらどんな顔するんだろうなァ・・・?」


首筋に寄せていた唇で時々舌でなぞる。その感触に背筋がゾクゾクして気持ちが悪い。一頻り首筋をなぞっていた高杉は徐々にその進路を舌へと降ろしていく。


「いやっ・・・!や、止めてくださ・・・いっ・・・」


銀時以外の男が自分の身体に触れている気持ち悪さに必死に抗う。如月の旅館で銀時が自分にした、夢なのに妙にリアルなあの淫らな感触。銀時の触れる部分は熱を持ち、気が遠くなりそうな程の快感。けどこの男が自分にしている行為は同じはずなのにまったく違った。


高杉「チッ・・・。あんまり暴れんな」


の必死の抵抗に舌を鳴らす高杉。普段なら、嫌がる女を無理矢理抱こうなどとはしないのだが・・・。恐怖で僅かに瞳に溜めたの表情は、男の本能を刺激するのに充分だった。高杉は何処からか探し当てた布の様な物で拘束していたの腕を縛りつける。必死に抵抗していたせいで、の着物の胸元は既に大分肌蹴ていた。僅かに見え隠れするたわわに実った乳房が高杉の情欲を煽る。の着物の胸元に手をかけると一気に割り開く。


「いやぁぁぁぁぁぁ!!」


男性に抱かれる・・・。病室を出る事を許されなかった私でも、知識程度なら勿論どうゆう事を指すのか知っていた。銀時への想いを募らせていく上で、何時か愛しい人に抱かれたらこの上ない幸せなのだろうか?と微かに思い描いた事もあった。けれど、消える自分の未来を思うとその想いは決して叶う物ではないであろうと思っていたのだ。けれどそれで構わないと思っていた。愛しい人の傍に居られる事、それ以上の幸せを望む事はあまりにも都合が良いから・・・。


高杉は肌蹴たの胸元を見ると、ニヤリと笑った。目の前には極上の女が居る。しかも今まで散々邪魔されてきた白夜叉の想い人だ。銀時への優越感と共に、男としての本能が沸々と湧き上がる。この女は己が抱いた時、一体どんな声で鳴くのだろうか・・・?


白い乳房を片手でもみこむ様にして、もう片方に唇を寄せる。柔らかい感触と肌触りの良さに夢中になる。まるで銀時へ見せ付けるかの様にいくつも紅い華を散らしていく。必死に抵抗を続ける。足掻いた所で男を跳ね除ける力など自分には無い。けれど諦める事も、男に屈する事もする訳にはいかないのだ。例え無駄な行為だとしても・・・。


高杉「あぁ・・・。そう言ゃあ、銀時が負った怪我酷かったよなァ」


まるで他人事の様に言う高杉。銀時と言う名前に反応し、抵抗していたの力が僅かに弱まる。


高杉「くっくっく・・・。あの出血の量じゃいくら銀時でも助からないだろうよ」


「!?」


高杉「アイツには散々邪魔されたからなァ・・・」


嘘だ、嘘だ!銀さんが助からないなんて・・・。けれど、何度も見た悪夢はまるでそれが現実の事の様にの淡い期待を打ち砕く。最後の銃弾は間違い無く心臓を狙っていた・・・。銀時の胸を真っ赤に染まった紅い華が咲く。


「うぅ・・・っ・・・」


高杉の前では涙を見せない様に、必死に恐怖と戦っていた。けれど銀時を想うと涙はあっけなく溢れてくる。両親を、友達を・・・。現実に生きていた自分の全てを捨てて、貴方に逢いたくてこの世界に来ました。残り少ない自分の命に、神様が最後にくれた貴方との時間。貴方の居ないこの世界に、私は存在する意味があるのでしょうか・・・?


目の前が真っ暗になった。自分を見下ろしていた高杉の顔や、身体を這う不快な感触が消えていく・・・。真っ暗になった視界に、優しい大好きな銀時が微笑んでいる。けれど微笑を向けると振り向いて、私を置いていく様に背中を見せて歩き出す銀時。どんなに名前を叫んでも、どんなに走っても銀時へと追いつく事が出来ない・・・。


高杉「くっくっく・・・。銀時の死に気が触れたか」


急に抵抗を止め、涙を流しながら何処か宙を見ている。彼女の美しい黒い瞳には既に光が灯っていない。人形になってしまった。けれど欲情した男の本能は既に止められない。


高杉「人形を抱く趣味はねェが・・・。余計な感情が無くなりゃ、都合が良いか・・・」


彼女とは僅かに話した事が無いけれど、自分の野望に手を貸す事は絶対しないと分かる。銀時と共に居たはアイツと同じ目をしているからだ。何時もは死んだ魚の目をしているアイツだが、自分の護るべき者の為や信念を貫く時に見せる瞳の輝きと同じだったから。感情の無い今の彼女なら操るのは容易いであろう。そう思うのに、なぜか僅かに残念だと思っている自分が居るのが不思議で仕方なかった。あの純粋で真っ直ぐな彼女の瞳は、遠い昔大好きだった先生を慕う子供の頃の自分に似ている気がしたから・・・。


雑念を振り払う様に、目の前の裸体の愛撫を再び開始する高杉。乱れた着物の裾に手を這わせ徐々に下を目指していく。抵抗の止んだ細い足を開かせ、下着へと手を伸ばす。


高杉「流石に濡れちゃいねぇか・・・」


無理矢理の行為のせいもあるだろうが、まだ経験の無いにとって高杉の行為は暴力と言っても良いだろう。本来、愛を感じながら潤うはずの彼女の部分は男性を受け入れる準備がまったく出来ていなかった。しかし猛る高杉の男性の部分は行為を中断出来る状況では無く、の下着を取り去ると着物をはだけ、肉棒を取り出す。数回自分の手で扱くと既に猛っていた肉棒は、硬く反り返る。まだ濡れていない秘裂へ肉棒の先端を合わせ前へ進めようとしたその時----


耳を塞ぎたくなる様な爆発音が船内に響いた。急に慌しく人の気配が辺りに漂い始めると、高杉との居る部屋へノックをする音が響いた。


部下「高杉様!!侵入者です!!何者かが船内を爆破しました!!」


高杉「ちっ」


慌てた様子の部下の声に、舌打ちをすると脱ぎかけていた着物を再び羽織り部屋の外へと出て行く高杉。一人、部屋に残される


「ぎ・・・ん・・・さ・・・ん・・・」


貴方にまた名前を呼んで欲しい・・・。貴方に呼ばれるといつも思うんです。長い時を白い部屋で過ごさなければいけない私にとって、人が当たり前に経験していく多くの事を諦めるしか無かった。そんな日々は自分が生きているのか何て分かるはずも無くて、何も知らないまま朽ち果てるのだろうと思っていた。けれど貴方に逢って名前を呼んでもらえると、私と言う存在が居ると、生きているんだと感じさせてくれるんです。なのに貴方の居ない世界で、私はどう生きれば良いのですか・・・?貴方が居ない世界に、私が生きてる意味なんてないのに----


光の消えてしまったの目から落ちる一滴の涙。このまま目を閉じて覚めなければ良いのに----




貴方に逢いたい・・・。