傍に居られるだけで・・・  第十三訓  理性   



頭から離れない、お前の柔らかさ----



船の戦いから無事に万事屋に帰ってきた4人。新八はお妙が心配するからと、恒道館に1度帰った。残った3人も相当疲れたのだろう、朝方に帰ってきたと言うのに帰るなり泥の様に眠って起きたのは次の日の朝だった。


まだ疲れが残っているのだろうか、意識があると言うのに中々起きようとしてくれない身体。そんな中耳に聞えるのはトントンとまな板を包丁が滑る音。そして1日何も食べていないお腹に響いてくる、味噌汁の良い匂い。誰か何て言われなくとも分かる、だ。彼女が万事屋に来てくれるまでは、新八が大体朝の食事を作ってくれていたのだが・・・。新八の作る食事はけして不味い訳ではないのだ。だけど何か足らなく感じてしまうのだ。だけどなぜか彼女が来てから不思議と感じなくなった物足らなさ。そんな事を考えながら何とか起き上がり、食事が並べられているだろう居間へ向かう。


「あ、おはようございます。銀さん」


そう言って台所から顔を出して微笑む


銀時「・・・。あぁ、そうか・・・」


「えっ?」


銀時「あ・・・、いや何でもねぇよ。おはよ〜さん」


そう言ってソファーに腰掛けた銀時。分かってしまった、新八から感じていた物足らなさの理由。それは考えて見たら酷く簡単な事だった。


神楽「おはよー・・・。銀ちゃん」


まだ眠いのだろう、寝ぼけ眼で押入れから出てきた神楽。神楽も銀時同様、彼女の作る良い匂いに惹かれて起きてきたのだろう。


「おはようございます。神楽ちゃん」


食事が並び終わり、朝食を食べ始める3人。何度食べても飽きる事が無い彼女の料理。普段、酢昆布ばかり食べている神楽や糖分摂取の名目で甘味やお菓子ばかり食べている銀時2人の偏食に対して彼女は、栄養バランスまで考えて作ってくれている。物足らなさの理由、それは料理を食べてもらう者への【愛情】と【心使い】。そして何より彼女の朝向けてくれるおはようの【笑顔】なのだろう。
新八や神楽や定春が来てからは、確かに万事屋は賑やかになった。銀時の抱えていた孤独と言う物をすっかり無くしてくれたのだ。それで満足していたつもりだった。けど楽しさの中に居ながらも何処か【満たされない】想いがあった。そんな時に現れたと言う存在。不思議だった。彼女の存在自体をまるで自分はずっと前から待っていた様な感覚。彼女と居ると満たされなかった物が満たされていくのだ。もう万事屋のメンバーと言うにはあまりに大きくなってしまった彼女のへ想い----


食事が終わり、新八がやって来る。依頼の予定は無いので各々好きに過ごす。銀時は特等席でジャンプを。神楽は新聞を、新八は掃除をしている。はと言うと新八と共に掃除をしていたのだが、時間も良い頃だしお茶でも入れようかと台所へ向かう。そんなをジャンプを見る振りをしながら目で追う銀時。


神楽「ネェネェ、銀ちゃん」


銀時「ん〜?」


神楽「銀ちゃん、の事好きネ」


銀時「ぶっっっっ!?オ、オマエ、き、急に何言い出すわけっ!?」


新八「・・・。焦り過ぎですよ銀さん・・・」


神楽「分かりやす過ぎるアル・・・」


そう言って溜息をつく新八と神楽。焦る銀時。台所に居るにこの会話は聞えていない。


「お待たせしました〜。皆さんお茶入れてきましたよ。銀さんは苺牛乳で良かったですか?」


そう言って台所から戻ってきた


銀時「っっっ!?あ、あのちゃん?台所で俺達の会話聞えてた・・・?」


「え?いいえ、聞えてませんよ?」


神楽「!銀ちゃんがね、の事----」


銀時「チョットォォォォォォ!!?か、神楽。オマエ何言おうとしちゃってんのおォォォォォォォ!?」


物凄い勢いで神楽の口を塞ぎにかかる銀時。それに驚くと新八。


「あ、あの・・・。銀さん?口離してあげないと神楽ちゃんが・・・」


銀時「えっ・・・?」


神楽「ムグッ!!!ホアチャ!!!」


余りの苦しさに暴れだし銀時を殴り飛ばす神楽。綺麗に放物線を描いて飛ぶ銀時。


新八「っ!?さん危ないっ!!!」


「えっ・・・?」


運が悪かったとしか言えない・・・。銀時が飛ばされた先にはが----


「きゃっ」


床を派手に叩く音と共に崩れる2人の身体。慌てて駆け寄る新八。神楽は相当苦しかったのだろう、ゼィゼィ言いながら咳き込んでる。


銀時「イッッ・・・。神楽のヤロー思い切りぶっ飛ばしやがって・・・」


銀時の顎を見事クリーンヒットした神楽の拳。顎は痛い。痛いのだが・・・。吹っ飛ばされて床に叩きつけられたはずの痛みが無い。むしろ心地よい感触が上半身を包んでくれている。痛む顎を押さえながら身体を起こして見れば----


銀時「っっっ!?!?」


銀時を受け止める様に下敷きになってしまった。心地よい感触はどうやら彼女の身体だったようだ。しかも銀時の手には運が良いのか悪いのか・・・。彼女の豊満な胸の感触が・・・。


「痛っ・・・・。ぎ、銀さん・・・、大丈夫ですか・・・?」


銀時「・・・」


銀時から反応が無い。は痛む背中を起こして、改めて状況を見れば銀時に押し倒される格好。しかも、この日に限って・・・、サラシをしていない自分を呪った。普段は新八と同様の着物を着用している為、サラシをしている。いつ何時トラブルに巻き込まれるか分からない万事屋。家に居るからと言って普段は決して怠ることはない習慣なのに。船での戦いの後で気が緩んでいたのだろう・・・。


「ぎ、銀さん!は、離れて下さいっ!!」


はドンドン体温が上昇していく顔と身体を必死に動かしたが、ビクともしてくれない銀時の身体。は余りの羞恥心で気を失いそうだった。そんな時天からの助けが----


新八「っっっ!?い、何時までさん押し倒してるんですかアンタァァァァァァァァ!!!!」


そう言って新八が銀時を思い切り蹴り飛ばす。銀時は2度目の放物線を描いた・・・。


「はぁ、はぁ、はぁ・・・。し、新八君。あ、有難うございます・・・」


乱れた胸元を押さえて少し涙目の。そんな彼女に何を思ったのか大量の鼻血を吹いて倒れる新八。


「えっ!?し、新八君!?」


神楽「男何て・・・。皆最低アル・・・」


そう呟いた神楽。は訳がわからず唖然とするしかなかった。









陽炎「今日は有難うございました。また宜しくお願いしますね」


「はい!お疲れ様です」


場所は変わってが居るのは時雨の変わりに店を引き継いだ陽炎が営む朧。豊富な知識と医術を見込まれたは引き続き朧で働いてくれと陽炎に頼まれた。は最初からそのつもりだったので快く引き受けた。


陽炎「あ、そうそうさん。これ、受け取ってもらえませんか?お客さんに頂いたんですが・・・、生憎私は時間が無くて」


そう言って陽炎から渡された紙切れ。【海を眺めながらひと時の癒しを。旅館「如月」(きさらぎ)】と言う文字が。


「これって・・・」


陽炎「はい、温泉旅館のチケットですよ。時雨の事で色々お世話になりましたし・・・。皆さんで行かれてはどうですか?」


「陽炎さん、良いんですか?」


陽炎「ええ、勿論です。今の私があるのは皆さんのお陰ですから。むしろ貰ってくれたほうが嬉しいですよ」


そう言って微笑む陽炎。そうゆう事ならとは有り難くチケットを貰う事にした。万事屋に向かって歩いていれば綺麗な夕暮れ時。は今朝の出来事を思い返していた。自分に向かって飛んできた銀時。とっさとはいえ、銀時に怪我をして欲しくなくて受身を取りながら受け止めてしまった。お互い怪我が無くて良かった・・・。けれど・・・。押し倒されている時見てしまった銀時の紅い瞳。普段は捕らえどころの無い軽さを滲み出す瞳なのに、あの時は違っていた。目を合わせてしまえばけして逃れる事の出来ない不思議な紅い瞳。新八が居てくれなかったら自分はどうなってしまっていたのだろうか。精一杯自分が暴れてもビクともしない逞しい腕。思い出しただけでも顔に熱が出てくる。必死に深呼吸を繰り返し暴れる鼓動を押さえる。これ以上考えてはいけない。そうしなければ、あの不思議な紅い瞳に自分は【囚われて】しまう気がした----





銀時は2度目の攻撃をくらって床に叩きつけられたが「痛い」とか「何するんだ!」と言うような感情は沸き上がっては来なかった。ソファーに座り頭を占領するのは倒れた時下敷きになった彼女の羞恥心からだろう、涙の溜まってしまった瞳。自分の身体と手に感じる柔らかい感触だった。銀時はモテ無いと自分で言えどやはりそうゆう【経験】が無い訳でもない。未成年が家に2人も居るせいか、大っぴらに女遊びをする事は無いけれどやはり自分も【男】なのだ。欲求は溜まる。だから2人には悟られない様に今までは気をつけていたのだ。しかし、が来てから不思議な事に欲求は驚くほどなりを潜めていたのだ。ましてや気持ちに気づいてからは、他の女を欲しいとも思わなくなっていたのだ。好きだから抱きたいと思う気持ちが少しもなかった訳ではない。だけど純粋な彼女を見ていると自分の邪な気持ちがしぼんで言ってしまうのだ。そう、【あの時】までは。目を瞑れば未だに鮮明に思い出せてしまう。自分を顔を赤くしながら涙を溜めた瞳で見上げる彼女の表情。それは情事の時の様な妖艶で美しい。今まで抱いてきた女達とは比べようも無い柔らかな乳房の感触。彼女からする自分が好きな温かくて優しい香り。その全てが自分の身体を熱くしていく。


銀時「やべェよなぁ・・・」


熱くなってしまった身体は、簡単には引いてくれるはずも無く・・・。幸い、新八は買い物へ。神楽は定春と遊びに行っていて今は銀時一人だ。あの時の事を思い出しただけで自分の下半身は苦しいほど大きくなっているのが分かる。徐に羽織っていた着物を肌蹴、黒いズボンのジッパーを下ろす。まるで待っていましたと言わんばかりに、天を向けて反り返る自分の肉棒。そっと握れば痛いほど脈打つ。思うのは、まだ触れた事が無いけれど紅を差してもいないのに赤く、柔らかそうなの唇。


銀時「っ・・・。はぁっ・・・」


片手で脈打つ肉棒を少しづつ上下に扱いていく。頭に浮かぶのは、どんどん淫らになっていくの姿。白い肌に唇を寄せれば甘い声で鳴いていく。白い柔らかい乳房に手を這わせれば、すぐに手に合わせて形を変えていく。どんどん早くなる己の肉棒を扱く手。先からは止め処無く先走りが滲み出す。


銀時「っぁ・・・。・・・、・・・」


こんな事して、お前を頭で犯している俺を見たらお前は軽蔑するだろうか・・・?優しいの笑顔が過ぎる。罪悪感がどうしようもなく込み上げて来る。だけど熱を持ってしまった身体は、もう止める事は出来なくて・・・。自分の身体の上で悶え喜ぶ彼女。銀時の荒くなる呼吸だけが部屋に響き渡る。


銀時「はっ・・・、ぁ・・・・、はっ・・・」


こんなにすぐに自分に限界が来るなんて驚いた。それほど彼女を想っている自分に苦笑いする。動きの早くなる手の中の肉棒はビクビクッと痙攣を始めている。


銀時「っっ!」


そう叫ぶと大きく膨れ上がった肉棒から迸る白い白濁。


銀時「・・・。参ったなァ・・・、すんげェ量・・・」


今までに経験が無い位吐き出された白い液。愛しい人を想ってするこの卑猥な行為は恐ろしいくらい気持ちを高ぶらせた。テッシュで後片付けをし、風呂場へ湯を張りに行く銀時。もうそろそろ新八や神楽、が帰ってくる頃だろう。
湯を張り終え、居間の窓を開ける。行為の匂いが残らない様に。自分は、を見て平気で居られるだろうか・・・?1度己の欲の糧にしてしまった彼女を今まで通り愛していけるだろうか?今日と同じ様な事があって、新八や神楽が居なかったら・・・。自分はこの欲望を抑える事が出来るだろうか・・・。考えれば考えるほど不安になる。男の【理性】など飽きれるほど脆い物だと情けなくなった。
どれくらい時間が経っただろう新八と神楽が帰ってき、も後を追う様に帰って来た。内心ドキドキしながらも自然を装ってに接する銀時。は気づいて居ないが何処か白々しい銀時の行動を横目に溜息をつく神楽と新八。


銀さんもさんが好きなら好きってさっさと言えば良いのに・・・。


を好きな男は沢山居るネ・・・。私も大好きアル。だからには幸せになって欲しいネ。銀ちゃんも大好きアル。だから銀ちゃんにも幸せになって欲しいネ。大好きな2人が一緒になれば何時でも一緒に居られるヨ!


それぞれの思いの行き先。願うのは【幸せに】なって欲しいと想う心。




愛してる。とても短くて、とても重い言葉